おとしだま

最近の私はというと、とにかく重宝されてかわいがられていて、なにも嫌な思いをしていない。ずっとこのままでここにいたいなと思ってしまうけど、こういう夢とまぼろしをたゆたっているような日々にも時間は流れているから、そういうわけにもいかないんだよね〜。

仕事を手伝っているチャラ男が、ボーナス入った頃に、日頃のお礼にと、ちゃんと包装紙で包まれたお菓子をくれた。私はそれが本当に嬉しくて、私の気持ちも働きも、この人は認めてくれるんだな、私がここでがんばっていることの証明で、結晶だ……  と大袈裟に感動した。このお菓子をいつも話を聞いてくれる仲良しの友人二人にもぜひ食べてもらいたくて、今度会うときに持っていこう!と思っていたのに、いざ当日になると待ち合わせの時間に遅れそうでめちゃくちゃ慌てていて、ふつうにきれいさっぱり忘れていた。わたしってそういう女………。でもかわいい包み紙と缶は、ずっと捨てないものコーナーに置いて取っておく。見るたび思い出せるこの明るい気持ち、私を支えるこれは、自信。

 

キッチンのあとに読んだ薔薇密室という本がとてもおもしろかった。中盤以降語り手が変わるたびにどんどんおもしろくなる。世界大戦中のドイツ、廃墟の僧院で、誰にも知られず薔薇と人間を融合させる実験をする博士、登場人物それぞれの物語が重なり繋がり絡み合い、何が真実でどこまでが誰の妄想なのか、読んでいるこっちもわからなくなるような…。え!?どういうこと?……そういうことなの……!?という驚きの連続で。今年読んだ本の中で一番おもしろかったのが沈黙、次が薔薇密室で、その次はなし。それくらいこの2冊が飛び抜けておもしろかった。来年もどんどん魅力的な本に出会いたいわね。