こいつはわたしの犬

精神と時の部屋

夢のなかへ

10、11日と白馬のホテルに女六人でくだらん旅行に行ってきた。めちゃくちゃ楽しくお湯は良くフレンチはおいしくワインは飲み放題で、天国は白馬にあったのか!と思った。近くて遠い天国。

チェックインし、飲まない人たちが庭でバドミントンに興じる中、ワインに目がないミサちゃんと(わたしは飲めれば何でもいい)ラウンジのソファで飲んでたら、マンドリンの演奏会が始まった。

白髪に白い髭、カフスを外した白いシャツにジーンズと言う出で立ちのスマートな指揮者の先生が、ずっとこちらを見ている。目があう。旅先だ、引かなくてもいいと思って、応じて見つめ返す。いかにも指揮者らしい先生。こだわりなさそうでこだわっているさりげない格好からもなんとなくわかる、そういう演出の上手い人。高校時代ずっと好きだった、吹奏楽部の顧問の先生に雰囲気がすごく似ていた。わたし多分この人のこと好きだな、向こうも同じだろうなとなんとなく思う。多くは語らない簡単な挨拶をして、演奏が始まる。

ワイングラスを片手にマンドリンの音色を聞きながら、高校時代のことを思い出していた。当時のわたしは、指揮をする先生の、スラッとした脚や、矢沢あいの絵みたいに小さいおしりを眺めるのが、とても好きだった。先生の声、言葉、まなざし、忘れていたことを思い出す。先生に褒めてもらいたくて練習を頑張っていた。先生の振るタクトの先だけを信じ、疑うことなく受け入れ、応え、ついていく。仲間と音を創り上げることよりも、今思えば、わたしはそれが楽しくて部活を続けていたように思う。一切の疑いなく盲目的に信じられるものがあって、それに応えることができるというのは、何物にも変えがたい喜びで、ほんとにどうしようもないくらいめちゃくちゃ気持ちいい。もうこのままどうなってもいいって思うくらい。音楽を演奏することは本当にセックスに似てる って当時知らなかったけど今思う。それはずっと恋だと思っていたけど、指揮を見るプレイヤーたち(おじさんおばさん)の様子を見ていて、ああ、そうじゃなかったのかもな、どちらかというと、宗教みたいなものだったのかもしれないな…と思った。わたしの初恋は勘違いだったのか。だけどわたし先生のこと好きだよ。たぶん今も。

ああ、なにもかもが遠く懐かしい。あの頃私は女子高生だった。また何かに陶酔したい。盲目的に信じたい。わたしを導いてほしい。わたしを弾いてほしい。もう一度、あの頃みたいに。

いい感じに酔いながらそんなことを考えていたら涙ぐんでしまった。胸を熱くしながら聞く、夢の中みたいな素晴らしい演奏会だった。当然指揮者とは何もなかった。

今日係長に会って、無性に甘えたくなったけど、いつもと違う眼鏡ですね っていうその一言も言えない、これこれ!日常!!!

って書きながら寝落ちしたんで朝だよ。夢が見たいよ。白馬に戻りたい。