浜辺の歌

それでもやっぱり、わたしが言いたいことはもうなくても、彼がわたしに言いたかったことはなんだったのだろうと、他人行儀でぎこちないショートメールの往復と、番号しか表示されない着歴画面を繰り返し眺めては、思う夜が、来る。アドレスは消しても特別だった番号は簡単には忘れられない。もう来ない電話を待っている。11月末から。7月の別れから。一昨日からずっと。

月曜日のお昼のために、味見をしなくても味のわかる食べ飽きたスープを煮る。

波打ち際から愛について考える。寄せて返して、わたしはいつまでここに立っているのかな。

まあそういう感傷から逃れられないのも仕方ないし、そういうこともそりゃあるだろう。少し泣いて、また明日から、波が引くのを静かに待つ。つまらないスープを飲みながら。それが美しい明後日に繋がっていくことを信じてる。