少女の10年

アーバンギャルドのファンです。インディーのファーストアルバムから、メジャーサードアルバムまではCDを買っていて、そこからは、彼らの歌うことが今までのように胸に刺さらなくなって、わたしが変わってしまったのだな…と、少し離れていた。

この度ニューアルバムが発売されて、その中に今までアルバムに収録されていなかった好きな曲が入っていたので、せっかくだからとライブDVD付の初回版を購入した。

 

アーバンの何がいいって、メロディーももちろんなんだけど、歌詞がいい。少女の頃の痛々しさや、繊細さ、未熟さゆえの衝動、自傷、儚さ、何かへの強烈な憧れ。わたしは別におくすりのお世話になるほど病んでもいないし、リストカットもしていないけど、このバンドのつくるオマージュに溢れたサブカルど真ん中の曲と、歌われる架空の少女に共感していた。ときが経つと共にそういった棘は自然と心から抜けて、あの頃のヒリヒリはいつのまにか今の自分のものじゃなくなっていて、だけど不意に襲うモラトリアムコンプレックス!もう大人になったはずなのに、あの頃大切だった服、安いキラキラのアクセサリー、コロン、制服、ルーズリーフをハート型に折った手紙、かわいい飾りボタン、楽譜に書き込んだ文字、そういう諸々を一旦忘れた時期のこと、だけど本当はずっと好きだったもののこと、思い出して苦しくなることがあった。

自傷する少女の気持ちを歌っていたアーバンギャルドは、10年経って、少女を力強く励まし救う歌を歌うバンドになっていた。

大人になること、思い出を黒歴史化して蓋をすること、もう戻れないあの頃を懐かしみ愛おしく思う気持ちも、ぜんぶ許す歌を歌うバンドになっていた。

また新しく始められるよと、先から私を引っ張って走る、そういう歌を歌うバンドになっていたのだった。

架空の少女も歳をとっていたんだね。10年という時の間、メジャーデビューやレコード会社移籍、メンバーチェンジなど、アーバンギャルドにもたくさんのことが起こり、同じ様にわたしにもたくさんのことがあった。黒歴史を塗り重ねる人生、でも人生ってそういうことの繰り返しで、そういうものだ。わたしも明日からも強く生きようと思わせてくれる、いいアルバムでした。

 

愛と幻想のアーバンギャルド(初回生産限定盤)

愛と幻想のアーバンギャルド(初回生産限定盤)

 

 

今日から三連休。せっかくなのに外は寒くなるらしい。爪を休日仕様でめちゃくちゃかわいくしたから、休日しちゃお。