ストーブの灯油が切れるにおい、冬の予感

ソファーで眠ってしまって、日付がかわってから、ぽかぽかの状態で目を覚ます。起き上がれないまま、不完全燃焼のにおいの中で、ぼーっと天井の照明を見上げている。単調な白い光にひときわ光る瞬間があるのに気づく。もうすぐ蛍光灯が切れるんだろう。音楽にならないとき。観葉植物の葉っぱの影。犬の写真。花。わたしの生活は満ち足りている。小さくループするくだらない幸せ。それがどうして時に悲しくなるんだろう。

身体がおいてきぼりだからこうなるのかな。有無を言わさず抱いてくれたら、考える隙間もないくらいに抱いてくれたら、でもその頃も幸せじゃなかったなって、シャツの胸からするお洗濯のいいにおいを思い出している。あたらしい彼からはきっとしないにおい。いいにおいにさせるのが、あたらしいわたしの役目になるのか。眠っている間にきていたライン、返事は明日の朝にする。気だるい。足りない。なにかすこし悲しい。恋のことを考えると音楽が鳴り始めて、頭の中がごちゃごちゃしてくる。

完全に起きてしまった。また眠る。