お別れの歌

もう7月6日になった。休み始めるとあっという間です。

 

6月30日は勤務最終日だった。呼び止められて向かいあって挨拶をした。泣かないぞと思っていたのに、これで最後と思って顔を見ると泣けてきて、お世話になりましたくらいちゃんと言わなきゃと思うのに、言えなかった。係長は係長でまだ何か言いたそうなのに言えないような顔をしていた。帰り際、いつもどおりの簡単な挨拶のあと、やっぱりちゃんと言わなくちゃと思って、わたし追いかけたけど、もういなくなっていて、これで完全に終わった、と思ったら涙も止まった。最終日だというのに目一杯残業して、みんなを見送って帰った。

夜、係長からショートメール。お疲れ様今までありがとう・機会がもらえるのなら話をしたい という内容。大好きでしたよ とだけ送って、会う会わないには答えなかった。

 

7月2日 送別会は断ったのだけど、有志で開いてくれることになっていて、それならと参加してみたら、ほぼ全員が出席していた。大変申し訳なかったけど嬉しかった。みんな優しい。係長は来ていなかった。来てほしかったけど来てほしくなかった。いなかったおかげでのびのびみんなと話ができて、1時くらいまで飲んで帰宅。

 

7月3日 会えないとなると彼がわたしに何を言いたいのか気になる。傷つけられてもこれが最後だしと思って、会いましょうと連絡する。

 

7月5日夜 会う。娘さんが学校で色々あって泣きながら帰ってきたそうで、学校や家からラインが来てる。こんなことしてていいんですか、と聞くと、いやいい大丈夫という。辛い思いをさせていたこと、自分のせいで仕事を辞めることになったこと、人生を悪い方向へ変えてしまったことを、謝られた。自分を庇ってくれていたことも、何も言わない優しさも、わかっていたと(全然わかってないと思いますけどね)、私相手に萎縮して小さくなっていた。そうですね、と言って、だけど好きだった、あなたもいろいろあるだろうけど、このままじゃ全部を無くしてしまうよ、あなたのためにもっと大切なものをしっかり大切にしないとだめですよ、と泣きながら訴えてみた。言いたいことを言えたらスッキリした。色々の真偽はもうどうでもいい。これで終わりなのだし、わたしなりに彼を愛していたことをちゃんと伝えられたのだし。ごはんくらい奢ってくれるのかと思ってた、と嫌味を言うと、送別会のつもりで今度奢るよというので、年の離れた友達としてね、連絡来まくってるし早く帰りましょうと、抱きしめられてキスして別れた。「今度」はもうない。最後まで譲歩して気遣って終わった。けど、それでよかった。車の中で泣いた。

終了です。ゲームセットです。コールド負け…でもないか。さようならわたしの2年3ヶ月。腕のまわらない広い背中。わたしがなんとかしてあげたかったけど、できなかったなぁー。

 

でもこれでようやく自由になった。本当の休みが始まった。せっかくだから、今月中に一人でどこかへ旅行に行ってみようと思う。ボーナスもらい逃げだしね。

 

I

半月で色々あった。転職決まったよ。

14日は面接を受けに行った。何とも言えない手応えだった。翌15日に採用の知らせ。あっさり転職が決まった。諦め半分だったので棚ぼた感すごい。前2つ受けた病院より条件がいいし、なによりこのタイミングだったので、正直病院の求人ならここしかないと思っていて、何としても射止めたかった。けど無理かなとも思ってた。これでダメなら仕方ない、腰を落ち着けて時間かけてじっくり職探そうと思っていた。光。しかも勤務開始もこちらの都合がいいように待ってくださるとのこと。神。予定通り7月末付で退職、7月いっぱいは有給で休むことにした。7月中頃には制服のサイズ合わせに行くことになっている。白衣。

 

昨日は職場のおばちゃん二人と遊びに行ってきた。

日本で唯一の閘門を通過する運河の観光クルーズ船に乗って、風を切って進む船から光る水面と空と緑を眺めているそのときに、23日の夜係長から着信があったことに気付いた。係長の誕生日だった。覚えていないだろうと思われているだろうということに悲しくなって、誰かに言ってもらえよと、なににも触れず、なにも言わなかったあの日。去年のこの日すでに彼には私より好きな人がいたけれど、私はそのことにまだ気付いていなくて、休憩室で寝転んでる彼の腕を引っ張って起こして、脚の間に座り込んで長くキスをして、おめでとうと言ったのだった。水しぶきキラキラ。跳ねる魚。青く晴れた空。ガイドさんの声。おばちゃん達に気づかれないように見つめる携帯の画面。

わたしが振って、わたしが終わらせる恋で、わたしが追われて、愛想を尽かした恋なのだ。馬鹿で情けないあなたが好きだよ。勤務もあと3日だし、何もかももう遅いのに、わからないあなたが好き。わたしがどうにかしてあげたかったけど、ほんとにもう遅い。

着信拒否すると通知もなくて、履歴画面にだけ履歴が残るの。したことなかったから知らなかった。コール音が鳴るだけでつながらないのかと思ったら、ちゃんと「この電話はお繋ぎすることができません」ってメッセージが流れるんだって、調べて知った。

帰宅後この履歴を眺めているときに、うっかりタッチして電話をかけてしまった。気付いてすぐ切ったけど、着歴残ったろうな、と思っていたら、朝になってしらないケータイから4コールの着信。多分係長の業務用のケータイだと思う。どうしても繋ぎたいわけじゃないから、昨晩すぐじゃなくて、しかもたった4コールで切れたの、分かってる。

まとめに「だめだと言われて我慢できる恋愛は恋愛じゃないと渦中のアイドルは言うけど、それを見た両親が、我慢できるのが愛だと言ってたのがかっこよすぎた」と2ちゃんの一レスが乗ってたけど、でもそうなんだよ。わたしは彼を愛していた。言葉や物を与えて示すことだけが愛じゃないと、彼が気付かなかっただけで。

彼の胸板の厚さを、わたしの髪を耳にかけて頬を撫でる手を、太い指を、彼としたセックスを思い出して、わたしがまだ泣くことを彼は全く知らない。もう遅い。大丈夫なふりももうあと3日で終わりにできる。やっと過去になる。このまま何も言わないつもりでいる。

レモネードの夏

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10日は友人と初めてコストコへ行った。おもしろがってパンばっかり買って一万円くらい使って会計でびっくりした。

今日はばら園へ行ってきた。今年は開花が早かったみたいで、少し盛りを過ぎてしまって、花は枯れかけていた。
去年来たときに、その前の年もばらを見ながら係長のことばかり考えていたのだったと思い出して、日記にそう書いたことを思い出した。今年は、こんなに彼のことを理解しながらも黙っているいい女は世界中探してもわたしの他にどこにもいないよ、あなたのことを本当に理解しながら好きでいるのは、わたしと、多分あと奥さんだけだと思うよ、もう付き合いきれないわ、と思いながら見ていた。
様々な名前のばらがある。妹に、自分で作るならどんな名前のどんなばらにする?と聞かれて、明るい黄色で「レモネード」という名前のばらにすると答えた。もちろん脳内では聖子ちゃんの名曲レモネードの夏がかかってる。「会いたいのは 未練じゃなく さよならって 涼しく 言うためよ」

写真は、コストコの帰りに寄ったカフェで食べたパンケーキと、今日のばら。

8月の軽井沢旅行は、わたしがどうなってるかわからないので、秋に延期してもらうことにした。
14日は面接。頑張りたいぞ。

週末雨上がって

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6月1日 辞表提出した。勤務は今月末まで。7月は有給使って休み、末日付で退職。さようなら私の好きだったあなた。あなたを好きだったわたし。やっとさようならのときが来たの。

 

明日は友達に誘われて金沢のロックフェスに行くんですけど、フェス初めてで、若者の音楽という感じであんま知らないしそんな興味ないし、まあテキトーに動きやすい普段着っぽいカッコで行けばい〜のかな〜とか思ってたところ、ちょっと調べたらそれだとフェスガチ勢にフェスを舐めるなとかって罵倒されそうなことが判明したので、おお怖と思って急遽Tシャツ買いましたよ…あんま着ないからこれというの持ってなくてさ…。うまく擬態できるといいな、あと日焼けしないといいな、年齢的に浮かないといいし、昼間から酒が飲めるといいし、あわよくば楽しいといいですよね。

恋する凡人

7月末で仕事を辞めることにした。課長、部長と面接をした。今日は5月24日。急いで次を探さなければ。家族に報告しなければ。一緒に働いているおばちゃんに言わなければ。どう言おう…と思うけど、もう引けない。もう待てない。我慢していられない。次のことはどうにでもなると、希望的に明るくも思うし、そう思っていないと恐ろしい。

7月で丸2年と3ヶ月、私がここでしたのは、しょうもない恋だけだった。本当にただただ馬鹿らしいけど、だから、やっぱりやめないといけないよ。誰にも言えないから、わかってもらえないことだけど、間違っていると思わない。こうして仕事を辞めるところまで一連で、自分にも止められない、始めた時から決まっていた結末のように思う。してはいけないことをした自分へのけじめでもある。6月末で8ヶ月、感じて考えて、決断するまで8ヶ月かかって、だから自分の中では、思い詰めてとか、そういうあれじゃないんだけど、でも人にはうまく言えそうもない。私が彼を好きだったことを、どうにも抗えないほど好きだったことを、なかったことにできないから、やめるの。書いてて情けないわ恥ずかしいわ馬鹿らしいわで泣けてくるけど、これ以上どうしようもない。よく頑張ったよ。馬鹿だね。

で、辞めるのはいいけど、仕事を探さないとなんだよな〜〜ないんだよね仕事〜田舎だからさ〜〜 あればそりゃ決めてから辞めてるんだよね〜〜〜。焦りつつ気長にやるしかない。全て前向きに検討するしかない。不安もだけど、そういうわけで部分的に明るい気持ちもあって、それを頼りに、もう頑張るしかない。

居酒屋とくるみボタン

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居酒屋でくるみボタンを作って遊びながら、仕事を辞める話をした。ここしばらく風邪を引いていて、もちろん具合が悪かったんだけど、それよりも、慢性的に、私は心の具合が悪い。こういうのを世間では、逃げだとか甘えだとか弱さだとか、言うのはわかってるけど、私にちゃんと優しいのは、わたしだけですから。シードルを飲みながらスモークチーズをつまんで、職場の人の善意の京みやげ・数珠「恋人できる輪」に、とうとう、うるせえバーーーカ と、言えずにいた台詞を叫ぶ。言いたいことも言えないこんな世の中は毒だし、世の中毒タイプの人間が多すぎるよ。私もですけど。